プロジェクトストーリー
PROJECT STORY プロジェクトストーリー
PROJECT STORY01
PROJECT STORY01

アイエイアイの顔となる、個性的な製品を開発する。

競合を圧倒する、新しい構造を開発せよ

入社4年目、初めて任されたプロジェクトは、アイエイアイの高級機種であるISシリーズのリニューアル開発でした。この機種は大型の単軸アクチュエーターで、最大150kgまでを、2.5m移動できるなど、業界内でも類を見ない性能を誇っていました。

しかし、開発から15年が経過して、競合製品が多数発売されたことによる競争力の低下が課題となっていました。

競合他社を圧倒する製品を開発するために、従来の改良品ではなく、他社がまねできない、新しい技術開発によって特許を取得した製品を開発することが必要だと考えました。そこで目を付けたのが中間サポートの構造でした。

中間サポートは、大型アクチュエーター内で回転する長さ約3mのボールねじの振動を抑える重要な部品です。従来は、中間サポートをワイヤーで移動させることにより、他の移動する部品との接触を防ぎつつ振動を抑えていましたが、この方法ではアクチュエーターを高速で動かせないという課題がありました。そこで、中間サポートを固定した上で、部品との接触を回避する、全く新しい構造の開発に取り組みました。

競合を圧倒する、新しい構造を開発せよ
競合を圧倒する、新しい構造を開発せよ

100パターンの試作を行い、革新的な構造が完成

新しい中間サポートは台形状で、上辺にある溝でボールねじを支えており、ローラーが付いたスライダーが通過すると、中間サポートが押し下げられるという設計難度の高いアイデアです。

最初の試作では、まるで車が衝突したようなドーンと大きな動作音が発生し、周りの部署からクレームが来るほどでした。さらに、耐久性も低く、1日で壊れてしまうという大きな課題もありました。

試作の初期段階では、商品化できる精度にはほど遠く、何度やってもうまくいかなくて、新しい構造で進めるか何度も悩みました。しかし、完成すれば大幅に性能がアップすることは明らかで、より多くのお客様にアイエイアイの製品を選んでいただけるはずだとチャレンジを続けました。

自らに課したのは、試作品が届いたら必ず24時間以内に評価し、改善策の検討、改善品の設計・手配をスピーディーに行うこと。形状の変更や追加工はもちろん、複合素材である軸受けの金属と樹脂の配合を変えたり、緩衝材の組合せを変えたりと、約1年にわたって100パターン近い改善試作を行いました。その結果、動作音を80%減少させることができ、製品としての耐久性を確保した中間サポートがついに完成しました。

100パターンの試作を行い、革新的な構造が完成

5つの特許と共に手にした栄誉と学び

今回の開発では、構造や緩衝材などに関して5件の特許を取得しました。従来品と比べ、最高速度は2.4倍、最高加減速度4倍。大幅な性能アップを実現させることができました。

この成果が売上げにもつながると評価され、全社員から3名が選ばれる社長賞を受賞できたことは、やりきってよかったという充実感につながりました。2023年の実績では販売台数は3倍に増え、年間売上げを数億円押し上げました。

私の改善提案から始まったプロジェクトですが、開発部の先輩のアドバイスや製造部との連携など、多くの方々の協力があって完成させることができたと感じています。

今回の開発を通じて、材料や表面処理の知識、樹脂成形や金型部品の設計を学ぶことができました。この経験を生かし、今後も特許を取得できるような、新しい仕組みを持った個性的な製品を手がけていきたいです。また、そういった製品開発の積み重ねが、アイエイアイの個性になるのだと思っています。技術者として、この製品は私が手がけたものだと、胸を張って言えることが大きな喜びですね。

5つの特許と共に手にした栄誉と学び