ロボロボ工場プロジェクトの試み ロボットメーカーの宿命、工場の自動化を自社で貫徹する。 中村 秀和 製造部自動機開発課

ロボットメーカーなのに、手作業…では済まされない。

 産業用ロボットの総合メーカーとして飛躍的な成長を遂げるアイエイアイだが、自社製品の製造では手作業に頼ることが多かった。工場の自動化を推進する製品を販売してきただけに、見学者から疑問視されることもあった。製品の組立や加工では手作業の方が効率的という場面も多くある。だが、市場が拡大し国内をはじめ海外のロボット業界が参入すると、高品質なロボットを安価に提供していかなくてはいけなくなる。必然的に自社工場の自動化が課題となる。

 そこで2006年に立ち上げられたのが、ロボロボ工場プロジェクト。2014年に運営を開始した富士宮市の新工場開設に合わせ、自社工場の自動化を進めるプロジェクトである。

急成長する会社の未来、支えるのは製造の自動化。

 ロボロボ工場プロジェクトのチーフは製造部自動機開発課の中村秀和課長。平成元年に入社し、アイエイアイの急成長を実感してきた。入社時はアイエイアイの前身・清水機電。社員約50人でプレハブのような建物で仕事をしていたと言う。20年以上経過し、シェア国内No.1、社員約700人、商品展示スペースや社員食堂を完備した新社屋を持つに至った。この成長を維持するために自動化は不可欠だ。

 ロボロボ工場プロジェクト発足当時、各部署から参加者が集められた。中村は機械設計課から応援に出たが、その後、同プロジェクトを行う自動機開発課の誕生とともに異動となる。石田社長からの指示は工場の24時間無人運転だった。中村のポリシーは「できない」と言わないこと。今までの経験からどんなことでもやり始めてみると、完璧とまでいかなくともなんらかの形が見えてきた。やってみることが大事。だから「できない」とは言わない。地道な挑戦が始まった。

一難去ってまた一難、研究の成果が自動化を進める。

 プロジェクトチームが最初に目をつけたのは、多くの製品の基幹部分となるナットの組立。円弧状の溝のあるねじ軸とナットの間に小さい鋼球を流し込み、隙間なく調整する事でナットの動きをスムーズにする機械の開発だ。従来は手作業でナットに鋼球を挿入していた。ナットには加工による微妙な誤差が生じるが、手作業ならば感覚的に鋼球の大きさを確かめられる。

 これを自動化するには、それだけの精度が必要なのだ。高精度な自動機を一から作り上げるために試行錯誤が続いた。完成しても何らかの要因で止まってしまうことがある。その場合、動作をやり直すプログラムを盛り込み、完全停止しないよう配慮する。24時間無人運転へ一歩でも近づけるために。

高品質のものづくりには、完全自動化の追求が欠かせない。

 2014年に運営開始した新工場では今まで開発してきた自動機や関連装置を多く導入したが、課題はたくさんあると中村は言う。新製品ができる度に新たな自動機を開発しなければならないし、売上げ見込みがわからなければ先行投資ができない。

 これからは自動化を考慮した“ものづくり”を行うため、他部署と連携をとりながら更なる自動化を進めたいと意欲を見せる。製造の自動化は生産性向上と同時に、品質向上に影響する。自社ロボットによる自社製品の製造は、ロボットメーカーの宿命だ。「できない」と言わずに続けてきた中村は、これからも大目標・完全自動化の夢を追う。

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