X-SEL-R/Sコントローラの誕生 ユーザーと未来の開発者へ、扱いやすいプログラムを提示する。 諸冨 征英 開発部ソフトウェア課

市場のニーズに耳を傾け、新しい製品開発へ動き出す。

 小型産業用ロボットは、コントローラ経由で実際に動くアクチュエータへ指令を伝えることで動作する。通常、1つのモータを搭載したアクチュエータに対して、1つのコントローラが必要。ユーザーはこれを何台も組み合わせて装置にし、製品製造等に使用する。そのためアクチュエータを複数同時に制御できるコントローラがあればコストダウンにつながる。

 従来、アイエイアイでは最大6軸を制御できるコントローラを販売していた。ところがユーザー側のニーズを調査したところ、4軸制御の装置が多いことが明らかになってきた。そうなれば次の挑戦が見えてくる。最大8軸制御のコントローラだ。実現すれば、4軸制御の装置を2組制御できることになり、飛躍的な効率化が期待できる。

未知の挑戦に向けて、当初から課題は明白だった。

 2008年、開発部は8軸制御のコントローラ開発に乗り出した。ソフトウェア開発のチーフは諸冨征英である。

 6軸制御のコントローラX-SEL-P/Qシリーズの追加機能を担当した経歴を持つ。新製品の開発は既成製品のベースを借りるため、6軸制御のコントローラに明るい諸冨は適任だった。だが、さすがの諸冨も、最初に構想を聞いた時は不安が大きかった。8軸制御になれば、その分プログラムの処理量が増加する。しかし、6軸制御と同じく、1/10000秒で処理する必要がある。

 制御数を6軸から2軸も増やして、本当にプログラムを処理しきれるのだろうか…。諸冨は悩んだが、成功すればユーザーから必要とされる製品になることは間違いなかった。長い開発の一歩を踏み出すことになる。

問題をクリアする鍵は、ユーザーの使いやすさにある。

 諸冨が手がけるのはコントローラの中でもプログラムコントローラと呼ばれる、ユーザーが希望通りにロボットを動かせるよう設定でき、繊細な動作に対応するコントローラである。ここで問題になるのが、使いやすさ。ユーザーが自らコントローラへプログラムを組むため、開発者にしかわからない仕様ではなく多くのユーザーにわかりやすい仕様でなくてはいけない。わかりやすい仕様になるよう心がけると同時に、コントローラプログラムの見直し・整理を行い処理速度の問題をクリアしていく。

 2010年、遂にモータを動かす時が来た。スイッチを入れ初めて8軸のモータが正常に回った瞬間、開発チームからは思わずオーッと歓声が上がった。

後進世代の開発者へ、バトンタッチが大切なんだ。

 最終的に出来上がった製品X-SEL-R/Sコントローラは、100種以上の命令言語をシンプルに提示する仕様となった。ユーザーはこれらを組み合わせてロボットを自在に操作できる。2012年から販売開始し、使いやすいと好評の声も聞く。

 諸冨は言う。「お客様はもちろんですが、他の開発メンバーのためにも理解しやすく変更しやすいプログラムにする必要があります。」日進月歩で改良が進む産業ロボット。今後、心血を注いだ新製品の改良を自分が担当するとは限らない。どの開発者が担当してもわかりやすい仕様になっていることが、結果的に品質の維持につながる。自ら生み出した製品の「成長」を見守るプロフェッショナルの心意気だ。現在、諸冨はソフトウェアのさらなる高品質化を目指し、新しい開発に着手している。

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